densha(2023/05/27)

 時間というヤツは酷いヤツだと、ここ最近、ずうっとそればかりを考えている。いつの間にか成人しているし、いつの間にか春になっていて、そうしてぼうっとしているうちに、いつの間にか、また春になっているし。
 ボクは去年の春から何か変われただろうか、だなんて。確かに、実際に変わっていることは多くあるけれど、それは外面のはなしで、ボクの内面は未だ何も変わっちゃあいないのだ。人間に嫌気がさして高専を辞めたあのときから、またはただひたすらに音ゲーをやっていた中学生時代のときから、あるいははじめてインターネットに触れて全能感を得ていた小学生のときから、ボクは未だ、何も変わっちゃあいないのだ。

 こうしてある程度以上の逃避を繰り返し続けて入った今の環境は、だんだんと近づいてくるオトナというやつに向けて、行動にある程度の理由を求めるようになってきたなと、また嫌気がさしている。それはあるいは前からそうだったのかもしれないが、兎角ボクは、全ての行動に意味を持っていなければならないようだ。
 そんなことが容易にできていたのは、果たしていつが最後だったのだろう、なんて。もしかしたら、そんなときは今まで一度も無かったのかもしれない、いや、かもしれないではなく、きっとそうなんだ。確信をもって言えること、ボクは未だ、オトナになれず、ドロドロに溶け切った頭のままで生きているのだ。
 「理由はいかが?」なんて、押し売りしてくれる人間が、あるいはAIがいたらいいのに。無意味に、ただ興味を持って動いているだけのボクは、もしかしたらゾンビのようなものなのかもしれない。近づいた事象に噛みついて離さぬまま、その肉が溶け切って頭部が自由に動くようになるまでそのまま居座り続ける。そんなゾンビなのかもしれない。いや、今この文を書いて納得した、ボクはゾンビなのだ。そうなんだ。全く、それは虚無妄想のはしりであろうに。憐れ。